●「年賀状」

新年のご挨拶に大切な方へ送る年賀状。
皆さんは、年賀状の起源と意味を知っていますか?
新年には年賀状を送るのが当たり前で、いつ・なぜ年賀状が生まれたのか知っている人は少ないのではないでしょうか。

〇日本で年賀状はどのようにして始まったの?

年賀状は平安時代から始まったとされています。
平安時代の貴族、藤原明衡(ふじわらのあきひら)がまとめた手紙の文例集の中に、年始の挨拶の文例があり、これが残っている最も古いものです。
この頃からお世話になった方や親族に新年の挨拶をして回る「年始回り」という習慣が広まりました。
しかし、まだ挨拶に手紙を使用するのは一部の貴族で、直接会えないような遠方の方へ賀状として送っていたそうです。
江戸時代に入ると、今の郵便の先駆けとなる「飛脚」が充実し、庶民が手紙で挨拶を済ませることも増えていきます。

〇現在の年賀状スタイルになったきっかけは?

現在のようなはがきスタイルになったのは、1873年(明治6年)に登場した官製はがきがきっかけです。
明治20年前後には、年賀状を出すことが年始の恒例行事となります。
多くの人が「1月1日」の消印を押してもらうために、年末頃に年賀状を投函し、郵便局の仕事量は普段の何十倍にも跳ね上がったそうです。
その対策として、「年賀郵便」の特別取扱が始まりました。
これは現在のように年末のうちに年賀状を受け付け、元日に配達されるという制度です。
その後1949年に、いち民間人であった林正治氏からのアイディアで、お年玉つき年賀はがきも登場しました。

〇お年玉つき年賀状の歴史

現在では普通に販売されている「お年玉つき年賀はがき」ですが、この発想は民間人が思いついたアイデアで、戦後の復興を願う国民の思いを反映しています。
平安時代から始まったとされ、戦争で一旦なくなりかけた年賀状が、このお年玉つき年賀はがきの発売から急激に取扱量を増やしていくこととなります。気になる第1回のお年玉つき年賀はがきの景品は、 ・特賞→ミシン
 ・1等→純毛洋服地
 ・2等→学童用グローブ
 ・3等→学童用こうもり傘
という内容でした。
受け取った年賀はがきの当選番号から景品が当たる!というお楽しみくじは、現在の年賀状にも引き継がれています。

〇なぜ年賀状を出すのか?

そもそも、年賀状はお世話になった方や大切な方、親族への「年始回り」の代わりです。
現代に合わせて考えると、次のような意味があるのではないでしょうか?
□1年の感謝を伝える
お世話になった方に、1年の感謝の気持ちを伝えるのに年賀状を出す人は多いはず。
受け取る側も、自分への感謝の言葉が添えられていたら嬉しいですよね。
口には出しにくい言葉も、手紙なら抵抗なく伝えることができます。
□普段会わない人と連絡が取れる
もともと、遠方で会えない方への新年の挨拶の手段として用いられた年賀状。年を重ねると、近くにいても旧友や恩師に会う機会が減ってきたりします。
しかし、1年に1回のやり取りがあれば、会えなくても繋がっている感じがしますよね。お互いの近況報告に年賀状を使ってみましょう。
□関係を深められる
友人だけでなく、親族や仕事関係の人に出すことで、お互いの信頼関係を高めることに繋がります。出したほうが良い印象を与えるのではないでしょうか。

〇まとめ

もともと新年の「挨拶回り」の代わりに出すようになった年賀状。
インターネットや電子メールなどの普及からか、平成9年の37億通をピークに年賀状は減少傾向にあります。
年賀状の代用として、SNSのようなコミュニケーションツールを利用し、関係の浅い知人から外国にいる家族や友人などにも簡単に新年の挨拶をすることが可能となりました。
けれども、こういったツールが普及しても正月に届く年賀状は嬉しいものですし、SNSにはない温かさがあるため、年賀状がなくなることは考えにくいような気もします。
1年に一度だけの年賀状でつながっているご縁もたくさんあります。これからもこの年賀状文化は大事に、人と人との温かいつながりを大切にしていけるとよいですね。
今年お世話になった方だけではなく、普段会わない方や仕事関係の方へ「挨拶回り」に行けない方がいれば、この際に年賀状を送ってみてはいかがでしょうか。
一口メモ:2022年12月

 

出典:筆ぐるめ、おたより本舗
https://fudegurume.jp/fgw/katsuyou/knowledge/nengakigen.html
https://happy-card.jp/ne/oshiete/history/3006.html

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