「年末年始の行事」

日本人なら知っておきたい、年末年始の習慣と由来

あなたにとって今年はどんな年でしたか?新しい年を迎える時期には、日本古来の伝統行事が数多くあります。由来や意味を知らずになんとなく習慣で行っているものも多いのではないでしょうか。
年が明けて初めて会う相手には「あけましておめでとうございます」と挨拶します。ここには「去年1年を無事に過ごして、新しい年を平穏に迎えられた」ことを祝う意味もありますが、「年神様がやってきて1年の福をもたらしてくれた」ことへの感謝やお祝いの気持ちも込められています。
〇大掃除
大掃除の由来は、神棚や仏壇の煤(すす)を落として年神様やご先祖様をお迎えする準備を整える「煤払い」だと言われています。
年神様をお迎えする正月は、一年で最も大切な節目。大切な日は家の隅々まできれいに掃除をし、心身共に清らかな状態ですっきりとした気分で新しい年を迎えたいものですね。
〇年越しそば
毎年大晦日には年越しそばを食べるという人も多いことでしょう。そばを食べるという風習には、「細く長生きできますように」という長寿の願いが込められています。
健康長寿の縁起物として扱われていました。また、麺が切れやすいことから「厄が切れる」「借金が切れる」というようなゲン担ぎの意味もあったようです。
一口メモ:2023年12月
〇除夜の鐘
「除夜」とは大晦日のこと。寺院で行われる除夜の鐘は、「人間には108の煩悩がある」という仏教の思想に基づいています。怒りや嫉妬、虚栄心といった煩悩を108回の鐘の音とともに絶ち、清廉な気持ちで新年を迎えようとするものです。
一般的には年が明ける前に107回を打ち、最後の1回は日付が変わってから打ちます。108という数字の由来は諸説ありますが、「四苦八苦」から転じて「4×9=36」と「8×9=72」を足して108という説があります。
〇門松
門松は、年神様が迷わず来られるようにと目印として立てるもの。天に向かってまっすぐに伸びる「竹」、一年を通して青い葉を茂らせる「松」、そして新春に香り高い花を咲かせる「梅」が使われます。大切なのは飾る期間です。12月31日に飾るのは「一夜飾り」、12月29日に飾るのは「苦立て」と言われて忌避されます。早すぎず遅すぎず、最も良いとされるのは12月28日頃です。門松を飾っておく期間は年神様がいる期間であり、一般的には1月7日までとされています。
一口メモ:2023年12月
〇しめ飾り
しめ縄は、年神様をお迎えする神聖な場所を示す飾りです。玄関や神棚、床の間などに飾ります。縄で結界を作る風習は、日本神話に出てくる天照大神の岩屋戸伝説に由来すると言われています。世界を照らす天照大神が二度と岩屋戸に隠れないように縄を張ったというものです。出雲大社の拝殿の巨大なしめ縄は有名ですね。
〇鏡餅
門松やしめ縄に導かれて各家庭に訪れた年神様は神棚に置かれた鏡餅に宿る、と言われています。つまり、鏡餅は年神様の依り代であり、居場所ということです。
鏡餅は床の間や神棚に飾りますが、ふさわしい場所がない場合はリビングなどの家族が集まる場所の一角、清潔にした場所にお供えします。人が見下ろす高さではなく、できるだけ明るく高い場所に飾りましょう。小さいものをいくつか飾っても構いません。
一口メモ:2023年12月
〇おせち
おせちは漢字では「お節」と書き、もともとは季節の節目にいただく節供の料理を指しました。やがて一年で最も大きな節目である正月に、神様にお供えする縁起物の料理として定着しました。おせち料理に含まれる料理にはそれぞれ五穀豊穣や家内安全、健康長寿などの願いが込められています。
〇お屠蘇
おせち料理と一緒にいただくのがお屠蘇(とそ)です。現代では主に日本酒を飲みますが、本来は不老長寿を願って漢方薬を浸した薬酒を飲む風習でした。
〇初詣
かつて時計がなかった時代は、日が暮れるまでが一日の終わりであり、夕方日が暮れた後は次の日とされていました。つまり大晦日の日は夕方から新年が始まることになっていたのです。
年をまたいで一家の安全や健康を祈願するため、一家の家長は大晦日から元日の朝にかけて氏子神社に泊まり込みました。これを「年籠り(としごもり)」といい、初詣の由来になったと言われています。
参拝は、松の内である1月7日や1月中、2月4日の立春までにお参りすればよいという形に変わっています。
〇初夢
初夢は1月1日の夜、または2日の夜に見る夢です。もともとは大晦日の夜から元日にかけて見る夢をいいましたが、大晦日に眠らずに除夜詣でに行く風習ができてからは元日に見る夢、さらに元日はすべての仕事を休んで2日から物事を始めるという考え方が定着すると、2日の夜に見る夢というように解釈が広がっていきました。
「一富士、二鷹、三茄子」いう言葉は、初夢に見ると縁起が良いとされているものです。富士山のように高い目標を叶え、鷹のように強く自由に大空を羽ばたき、大きなことを「成す(=なす)」という願いからこのように言われるようになりました。
〇年賀状
年始には、お世話になっている相手に出向いて年頭の挨拶を交わすのが習わしでした。遠方や体調などにより直接挨拶に行けない場合は手紙を送って挨拶の代わりとしていたのが、現在の年賀状の始まりです。
今年もよろしくお願いしますという気持ちを伝えましょう。
〇七草がゆ
古代中国では、元日を鶏、2日を犬、3日を猪、4日を羊、5日を牛、6日を馬、7日を人の日としてそれぞれの占いを立てており、1月7日は「人日(じんじつ)の節句」と呼んでいました。人日の日には7種類の若菜を入れた汁物を食べ、無病息災を祈る風習がありました。
春の七草とは
・せり ・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろの7種です。
これらでなくても、ネギやホウレン草など7種類の野菜を使った汁物を食べることで、自然から生命力をいただくという古代の風習には沿っています。          
◎まとめ
年末年始の行事には古くから伝わる信仰に基づいたものが数多くあります。現代では大きく形を変えているものもありますが、いずれも「健康で長生きできますように」「家族が平和に暮らせますように」といった願いが込められています。心安らかに新年を迎えたいものですね。

 

出典:Edu MAGAGINE
https://edvmagazine.jp/new-year-customs/

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