★「体験入隊に参加した高校教師」 (2021年5月25日)

 

これは「人は異なる体験をすると、
意外なことに気がつく場合がある」という話である。

 

自衛隊の「体験入隊」は、
一般の方に二泊三日程度の日程で訓練や隊内生活を体験してもらい、
合わせて自衛隊の実際の姿を広く知って頂く制度である。

 

そしてその体験入隊の代表的な内容が「教練」である。

 

教練は「気を付け」「敬礼」「行進」といった
基本的な動作を身につけるための訓練である。
通常、十名程度を一個分隊として、自衛官の教官の指導の下、
各分隊ごと、号令をかける指揮官と、分隊員の役を交代しながら実施する。

 

私が埼玉県にある熊谷基地の司令であった平成十四年(二〇〇二年)にも体験入隊を実施していた。
そして体験入隊が終わるといつも参加者に簡単な感想文を書いてもらうことにしていた。
その後の体験入隊の参考にするためである。

 

 

ある時、某高等学校の若手教師の皆さんが体験入隊を行ったが、
その時のある教師の方の感想文が今でも私の記憶に強く残っている。

 

その感想文にはこう書いてあった。

 

「私は、自衛隊で初めて教練を行いました。
教練では指揮官と分隊員の両方の役を交代で行いましたが、そこであることに気が付きました。

 

それは、日頃、
教師として生徒を指導していく上でうまくいかない場合は、
生徒にやる気がないとか、生徒が良く聞いていないとか、
生徒の側に原因があるとばかり思っていましたが、
今回、分隊員の役もやってみて、うまくいかないのは
指揮官が号令をかける時の声の大きさや、号令をかけるタイミングなど、
指揮官の側にもかなりの原因や責任があることが分かりました。

 

教師をやっていて、指導者の立場は十分に分かっていたつもりですが、
大事なことを見落としていたことに気が付きました。(以下略)」

 

教練は本来「気を付け」「敬礼」「行進」といった基本的な動作を身につけるための訓練であるが、
この若手教師の方は、「教練」を通じて
「人を動かす」という「リーダーシップ」の本質をも体得されたのだと思う。

 

また体験入隊を実施する側の我々にも大事なことを再認識させてくれた感想文であった。
今でも忘れられない体験入隊の感想文である。

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