隊友ファミリーに奉仕するOB・OG集団

★「大佐とコーヒー」(2019年5月24日)

 

これは、今から約20年前、
私が第7航空団(航空自衛隊百里基地、茨城県)の副司令として
勤務していた時の話である。

 

百里基地に見学のために来訪した
在日オーストラリア大使館の駐在武官の空軍大佐は、
応接室で副官付(秘書役)の若い女性自衛官(空士長)から出されたコーヒーを
なぜかすぐには飲もうとしなかった。

 

 

コーヒーカップばかり気にしているので不審に思っていると、
大佐はおもむろにコーヒーカップの脇に置いてあった
小さなコーヒーミルクを手に取って私に見せた。

 

すると、なんとそのコーヒーミルクの蓋には
オーストラリアの国旗が印刷されていた。

 

我々のコーヒーミルクの蓋はと見ると、
そこには日の丸が印刷されていた。

 

 

 

 

一般的に外国人は
日本人が考えているより
はるかに国旗に対する尊敬の念が強い。
まさか地方の航空自衛隊の基地で
自国の国旗がついているコーヒーミルクに出会うとは
思いもよらなかったとみえ、たいそう感激していた。

 

まるで初めて訪問した日本の地方の動物園で、
いるはずがないと思っていた
コアラに出会った時のような喜びようであった。
その後、懇談が大いに盛り上がったことは言うまでもない。

 

大佐が帰った後、
副官付の彼女に
「彼は感激して帰ったよ。良い着意だった。ありがとう」
と言うと、彼女は
「最近コーヒーミルクは蓋に各国の国旗をプリントした
“国旗シリーズ”というのがありそれを使っています。

 

今日オーストラリアの駐在武官が来訪されるとのことでしたので、
買い置きしていたものを探したのですがありませんでした。

 

そこで昨日仕事終了後、
基地の売店で袋ごと買ってきて探したら、
運良くあったんです」
と嬉しそうに答えた。

 

「君は偉い」と誉めた。

 

もし彼女が何も考えずに、
例えば、
他の国(北朝鮮など)の国旗がついたコーヒーミルクを出していたらどうなっただろうか。

 

考えたくもないことであるが、
気まずい雰囲気になったことは間違いない。

 

私が知らないところで、
若い隊員は誠心誠意仕事をしていると強く印象に残った、
今でも忘れられない出来事である。

 

 

 

 

 

 

★「世代のギャップ」(2019年1月31日)

 

 

これは航空自衛隊で通信・気象・情報などの教育を行う
第4術科学校(熊谷基地)に勤務していた
平成12年(2000年)の頃の話である。

 

ある日、高校を卒業し入隊以後1年も経っていない空士学生に講話をする機会があった。

 

講話終了後、学生の後ろで聞いていた某教官が
「先ほどの講話の中で『この前の戦争では・・』と言われましたが、
あれは第2次世界大戦のことを言われたと思いますが、
学生は若いので、
湾岸戦争のことかな、イラク戦争のことかな、
と迷ったかもしれません」と教えてくれた。

 

確かにそうかもしれないと思い、
紙と鉛筆を取り出し簡単な計算をしてみた。

 

今年(講話を行った年)は平成12年(2000年)だから、
「真珠湾攻撃(昭和16年、1941年)」は「59年前」のできことである。

 

 

 

 

一方、私が彼らと同じ19歳(昭和44年、1969年)の時の「59年前」は
明治43年(1910年)であり、
なんと日露戦争が終わって数年後であった。

 

つまりタイムスパンだけみると、
私より約30歳年下の若い学生にとっての
「第2次世界大戦」は、
私にとっての
「日露戦争」
と同じくらい昔のできごとであった。

 

 

 

若い学生が「この前の戦争」と聞いて
「湾岸戦争やイラク戦争」をイメージしたとしても無理もない。

 

学生と私ではそれくらいの「世代のギャップ」があることを痛感した。
そして「世代のギャップ」に留意しつつ話をしないといけないと反省した。  

 

蛇足ではあるが、更に計算をしてみたら、
若い学生にとっての「日露戦争」(彼らが生まれる75年前)は、
私にとっての「西南戦争」(私が生まれる75年前)であった。

 

 

「世代のギャップ」は想像以上に大きいものがある。

 

 

 

 

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