●2019年9月23日:万年筆の日

 

9月23日は万年筆の日!

 

手書きの楽しさを再発見してみませんか?

 

9月23日は「万年筆の日」。万年筆の歴史と魅力をご紹介します

 

9月も気がつけば残すところ1週間。
秋もそろそろ本番を迎えます。

 

さて、9月23日は「万年筆の日」なのですが、
今からおよそ200年以上前、
英国で万年筆の元となったペンが発明されたことにちなんで制定されました。

 

そこで今回は、万年筆の魅力についてご紹介したいと思います。
メモはもちろん案内状や連絡についても、
パソコンやスマートフォンを活用する人が多い中、
みなさんが最後に自筆で手紙を書いたのはいつでしょうか?

 

そんないま、手書きで文章をしたためることが、
少しずつながら見直されているようなのです。

 

目 次

 

●“泉のよう”にインクが出る? 初期の万年筆とは
●大切な契約書をインクで汚したしまった失敗から誕生した万年筆
●ところで、万年筆という名前は誰がつけたの?
●使えば使うほど書きやすくなる。万年筆の魅力
●万年筆の選び方。3つのポイント

 

“泉のよう”にインクが出る? 初期の万年筆とは

 

万年筆は今から約200年前、イギリスで発明されたペンが始まりといわれています

 

1809年9月23日、英国人のフレデリック・バーソロミュー・フォルシュが、
軸の中にインクを貯蔵できる筆記具を考案し、特許を取得。
当時はペンの軸にバルブをつけ、
それを開閉することでペン先にインクを送る仕組みだったといわれています。
これが万年筆の起源とされ、
9月23日は万年筆の日となりました。

 

同じく1809年に英国人のジョセフ・ブラマーも、
ペンの中にインクを入れ、
軸を押すことでペン先からインクを出す仕組みを考案します。
このときは“泉のよう”にインクが出るということから、
「泉のペン(fountain pen)」と名づけられたといいます。
それにしても“泉のように"とは、どれほどの量のインクが出たのか気になりますね。

 

大切な契約書をインクで汚してしまった
失敗から誕生した万年筆

 

契約書を汚してしまった失敗から、今日の万年筆が誕生

 

それまでインク壺にペン先を浸して書いていた当時の人々にとって、
ペンの内部にインクを内蔵する仕組みは画期的な発明だったようです。
しかし、インク漏れなど解決しなければならない問題も多々あったようです。

 

これらの問題を解決したのが、米国人のルイス・エドソン・ウォーターマンです。
このウォーターマンは保険のセールスマンだったのですが、
契約書を交わす際に書類をインクで汚してしまったために
顧客を失った経験を持ちます。
この時の経験をもとにウォーターマンは、
軸の中にインクを貯蔵できる筆記具が開発されてから75年後の1884年、
“毛細管現象”(内側の液体が管の中を上昇または下降する物理現象)を利用して、
ペン先にインクを送る仕組みを発明します。

 

この仕組みは今日の万年筆にも用いられており、
ウォーターマンは「近代万年筆の父」とも呼ばれています。

 

ところで、万年筆という名前は誰がつけたの?

 

万年筆。明治時代の末までは「萬年筆」と書いて「まんねんふで」と読んだ?

 

日本で初めて万年筆を販売したのは、
「丸善」と「伊藤古一堂」であることが現在定説とされていますが、
「丸善」と「伊藤古一堂」は店頭で万年筆を販売する筆記具店でしたが、
両者はどこから万年筆を仕入れたのでしょうか。

 

このとき万年筆が輸入されたのは開港(1859年)間もない貿易港・横浜であり、
貿易業者・バンダイン商会が
1884年に米国製「カウス・スタイログラフィックペン」を輸入したことがわかっています。
しかし、実際のところは今日の万年筆の仕様とは大きく異なり、
万年筆の前身といわれる筆記具だったようです。

 

また「万年筆」という名称は、
1885年に「丸善」のチラシに登場したのが初めとされていますが、
万年筆の名づけ親については次の2説がいまに伝わっています。

 

【一説】国産の万年筆を作った時計商・大野徳三郎が
「万年筆」と名づけたことが、1905年10月の東京横浜新聞で報じられている……

 

【一説】一方で、明治の評論家兼文学者の内田魯庵が、
懇意にしていた筆記具販売員の「万吉」さんの名前と、
インクを補充さえすれば千年、万年かける筆であるから「万年筆」と名づけた……

 

いずれにしても、墨(すみ)や硯(すずり)を用意しなくても、
いつまでも書き続けられる、
そんな夢のようなペンに対する思いが込められていたのかもしれません。
ちなみに、明治時代も末ころまでは「萬年筆」と書いて
「まんねんふで」と読んだともいわれています。

 

使えば使うほど書きやすくなる。万年筆の魅力

 

使い込むことでなじんでくるのも、万年筆の大きな魅力

 

0.1mmや0.3mmなどの極細ペン先のペンが安価で購入できるようになったほか、
最近はボールペンで書いた文字が自由に消せる、
流れるような書き味、再生樹脂で製作されたエコロジー・ボールペン、
持ち手にフイットする形状など、筆記具の進化が止まりません。
こうした点からも、
通常のペンであれば購入したて(新しければ新しいほど)書きやすいと感じる人が多いようです。

 

逆に、万年筆の大きな魅力のひとつに、
書けば書くほど書きやすくなるという点があります。
その理由として考えられるのが、ペン先です。
万年筆のペン先の先端には硬い合金がついていて、
これが紙の上をなめらかにすべることで字を書くことができます。
このペン先を日々使い続けることで合金部分に磨きがかかり、
持ち主のペンを握る角度や筆圧、書き方のくせなどになじんでいくのです。

 

万年筆愛用者の中には、
その書き味の変化で自分の万年筆を誰かほかの人が使ったことが分かる、
という人もいるほどですので、
それほどに繊細に、万年筆は持ち主仕様にカスタマイズされていくということなのでしょう。

 

万年筆の選び方。3つのポイント

 

交換も手軽にできるカートリッジ式のインク

 

さて、さまざまな種類の万年筆がありますが、
ここではその選び方のポイントを3つご紹介します。

 

【選び方のポイント1】
まず、書き味を決めるペン先には、
金とスチールの2種類の素材があり、
金は腐食にも強く、弾力性がありますが、高価です。
一方のスチール製は価格はそれほど高くはありませんが、
硬くて、さびる可能性があります。

 

【選び方のポイント2】
次に、ペン先の形状で字幅も変化します。
あて名書きやサインなどに使う太いものから、
手帳などに記す極細タイプまでさまざまですが、厳密な規格はありません。
購入する前には必ず試し書きをすることをおすすめします。

 

【選び方のポイント3】
最後はインクの補充方法です。
補充方法は3種類あり
「インクをペンに吸入する」
「カートリッジ式」
「そしてその両方に対応するコンバーター式」となります。
それぞれ一長一短ありますが、
万年筆の愛好家には、インク交換の手間を楽しみたいという人も多いようです。

 

さらに、万年筆のインクの色といえば
「ブラック」か「ブルーブラック」が主流でしたが、
最近のステーショナリーブームを受けてか、
筆記具専門店ではまさに色とりどりのインクが販売されています。
そうしたインク選びも万年筆愛好者の楽しみのひとつとなっているようです。

 

── 万年筆を選ぶ際には、用途に合わせて選ぶのはもちろん当然ですが、
迷ったときは自分の好みを最優先に。
万年筆はボールペンと比較して高価ですが、
直感に頼って「生涯の一本」と出会う……
という楽しみもポイントかもしれません。

 

(参考:『万年筆のすべて』(竢o版社)、日本筆記具工業会HP)

 

出典:「tenki.jp」
   (https://tenki.jp/suppl/kana/2017/09/22/25941.html)

 

 

 

 

●2019年9月9日:重陽の節句(菊の節句)

 

重陽(ちょうよう)の節句とは?

 

9月9日に行われる、別名「菊の節句」

 

9月9日に行われる「重陽の節句」は「菊の節句」とも言われる

 

9月9日は、五節句のひとつ「重陽の節句」です。
菊を用いて不老長寿を願うことから別名「菊の節句」といいますが、
知らない方も多いでしょう。

 

命を尊び、風情溢れる重陽の節句を楽しむために、
行事の由来、内容、食べものなどについてご紹介します。

 

【重陽の節句・目次】
▼重陽の節句は五節句のひとつ
▼中国伝来、菊の花で不老長寿を祈願
▼楽しみ方:菊酒
▼楽しみ方:被せ綿(きせわた)
▼楽しみ方:菊湯・菊枕・菊合わせ・茱萸嚢
▼食べ物:栗ご飯・秋茄子
▼食べ物:食用菊・菊のお菓子
▼綿をかぶせて菊の花を「被せ綿」にアレンジ
▼手軽なフローティングフラワー
▼「菊尽くし」を楽しんでみよう

 

●重陽の節句(菊の節句)は五節句のひとつ

 

9月9日・重陽の節句(菊の節句)は五節句を締めくくる行事

 

五節句とは、江戸時代に定められた5つの式日(今でいう祝日)をいい、
1月7日の人日の節句(七草粥)、
3月3日の上巳の節句(桃の節句/雛祭り)、
5月5日の端午の節句、7月7日の七夕の節句、
9月9日の重陽の節句をさします。

 

古来、奇数は縁起の良い陽数、偶数は縁起の悪い陰数と考え、
その奇数が連なる日をお祝いしたのが五節句の始まりで、
めでたい反面悪いことにも転じやすいと考え、お祝いとともに厄祓いもしていました。
中でも一番大きな陽数(9)が重なる9月9日を、
陽が重なると書いて「重陽の節句」と定め、不老長寿や繁栄を願う行事をしてきました。

 

今では五節句の中でも影が薄くなりましたが、
五節句を締めくくる行事として、昔は最も盛んだったといわれています。

 

●重陽の節句(菊の節句)は中国伝来。
平安時代に菊の花で不老長寿を祈願

 

菊のイメージが変わる、オリエンタルな菊のアレンジ

 

こうした節句は、行事と関係する植物の名前を冠して呼ばれることも多く、
1月7日は七草の節句、
3月3日は桃の節句、
5月5日は菖蒲の節句、
7月7日は笹の節供、
そして9月9日は菊の節句と呼ばれています。

 

古来、菊は薬草としても用いられ、延寿の力があるとされてきました。
菊のおかげで少年のまま700年も生きたという
「菊慈童(きくじどう)」伝説もあります。
また、他の花に比べて花期も長く、日本の国花としても親しまれています。

 

中国由来の行事で、日本では平安時代ごろに貴族の宮中行事として取り入れられました。
当時は、中国から伝来したばかりの珍しい菊を眺めながら宴を催し、
菊を用いて厄祓いや長寿祈願をしていました。
これが時代とともに民間にも広がり、
江戸時代に五節句のひとつとなって親しまれるようになりました。

 

菊といえば晩秋の花という印象ですが、
旧暦の9月9日は新暦の10月中ごろにあたり、まさに菊の美しい季節でした。
このころは農繁期であることや、
新暦に替わって季節感が合わなくなったことなどから次第に廃れてきましたが、
寿命を延ばすと信じられていた菊を使い、さまざまな風習が伝えられています。

 

また、庶民の間では「お九日(くんち)」と呼ばれて親しまれ、
秋の収穫祭と合わせて祝うようにもなりました。
有名な「長崎くんち」「唐津くんち」はその名残で、新暦の10月に開催されています。

 

●重陽の節句(菊の節句)の楽しみ方:菊酒

 

現代版菊酒は、盃に菊の花びらを浮かべるだけで楽しめます

 

本来は菊を漬け込んで作りましたが、お酒に菊の花びらを浮かべてみるだけでも良いでしょう。
長寿につながり、風流な気分も味わえます。

 

●重陽の節句(菊の節句)の楽しみ方:被せ綿(きせわた)

 

被せ綿は、綿を全体的にベールのように被せたり、

一輪ずつに被せたりして楽しみます

 

前日に菊の花に綿をかぶせておき、
翌朝、菊の露や香りを含んだ綿で身体を清めると長生きできるとされていました。
正式には赤・白・黄の真綿(絹の綿)を用います。
そんな風情を楽しむように、
菊に薄い綿をかぶせてベールのようにアレンジし、お部屋に飾ってみると素敵です。

 

●重陽の節句(菊の節句)の楽しみ方
 菊湯・菊枕・菊合わせ・茱萸嚢(しゅゆのう)

 

■菊湯
 湯船に菊を浮かべて入ります。現代のハーブバスです。

 

■菊枕
 菊を詰めた枕で眠り、菊の香りで邪気を祓います。
 菊のポプリやアロマテラピーグッズを枕元に置いても良いですね。

 

■菊合わせ
 菊を持ち寄って優劣を競います。今でいう菊のコンクールです。
 この時期になると、菊まつりや菊人形展が各地で開催されています。

 

■茱萸嚢(しゅゆのう)
 呉茱萸(ごしゅゆ)の実を緋色の袋に納めたもので、身に着けたり、飾ったりして厄除けをします。

 

●重陽の節句(菊の節句)の食べ物:栗ご飯・秋茄子

 

重陽の節句は秋の収穫祭と結びついていったため、重陽の祝い膳には秋の食材が並びます。
長寿につながる菊酒とともにどうぞ。
また、重陽の節句の食べ物には、不老長寿を願う気持ちが込められているので、
敬老の日(9月の第三月曜日)に活かしても良いですね。

 

■栗ごはん
 江戸時代から重陽の節句に栗ごはんを食べる習わしがあり、「栗の節句」とも呼ばれています。

 

重陽の節句は「栗の節句」とも呼ばれます

 

■秋茄子
 「おくんちに茄子を食べると中風にならない」と言われています。
 焼き茄子や茄子の煮びたしが人気のメニュー。

 

●重陽の節句(菊の節句)の食べ物:食用菊・菊のお菓子

 

■食用菊
 食材として栽培された食用菊は、
 昔から親しまれてきたエディブルフラワー(食べられる花)で、
 おひたし、お吸い物、サラダなどが人気です。
 お刺身の盛りつけでお馴染みの黄色い菊は、見た目の美しさだけでなく、
 優れた抗菌作用で食中毒を防ぐ役割もあります。

 

食用菊の王様「もってのほか」。

名前の由来は「天皇の御紋(菊)を食べるとはもってのほか」

「もってのほか(想像以上に)おいしいから」だとか

 

■菊のお菓子
 この時期になると、菊をモチーフにした和菓子が販売されています。
 尾形光琳が考案した「光琳菊」や菊の干菓子など、
 重陽にふさわしい品を取り入れると楽しいでしょう。

 

●お洒落に菊の花をアレンジ。
 綿をかぶせて「被せ綿」に

 

丸くてキュートな「ピンポンマム」はアレンジの幅も広がります

 

菊というと伝統的な生け花や大輪の一本菊を思い浮かべますが、
「〜マム」というネーミングで人気のお花は、品種改良された西洋菊です。
カラフルでキュートなタイプが多いので、
アイデアを活かして素敵にアレンジしてしまいましょう。
さらに伝統的な「被せ綿」を施すと、重陽の節句にぴったり。

 

●手軽なフローティングフラワー

 

重陽の節句をカジュアルに演出するフローティングフラワー

(光文社『1000円花のdailyアレンジメント』より)

 

菊の茎や葉っぱを取り除くことで、
和風の菊でもモダンなイメージになり、和室だけではなく洋室にも上手くとけ込みます。
塗りのお椀や和食器に浮かべれば、ジャパニーズ・モダン。
ガラスの食器に浮かべれば、爽やかなフラワーアレンジに。
ビー玉を一緒に入れてもいいでしょう。

 

●重陽の節句(菊の節句)は、「菊尽くし」を楽しんでみる

 

重陽は菊にまつわるものを多用した「菊尽くし」が喜ばれます。
菊の花はもちろんのこと、
菊の食べ物、菊の文様の器、菊の絵など、いろいろなものを組み合わせてみましょう。
命を尊び、健やかで幸せな日々が続くことを願う重陽の節句を、
あなた流にぜひ楽しんでみてください。

 

また、ひな人形を飾る「後の雛」という風習もあります。
(詳しくは「重陽の節句にひな人形を飾る!?大人の雛祭り「後の雛」」で解説)

 

出典:「All About 暮らし」
   (https://allabout.co.jp/gm/gc/220562/#9)

 

 

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